博報堂DYグループ「Human-Centered AI Institute」ブランドムービーを企画・制作

28 April 2025

実写×生成AIによるハイブリッド映像で「人間中心のアプローチによるAI」の世界観と未来像を発信 

 

TBWA\HAKUHODOは、博報堂DYホールディングスが設立したAI研究・技術開発機関「Human-Centered AI Institute(HCAI)」のブランドムービーを企画・制作し、2025年4月28日に公開しました。このムービーは、人間の創造性とAI技術が融合する「人間中心のアプローチによるAI」というHCAIのビジョンを、実写と最新生成AIによるハイブリッド映像で表現しています。 
ブランドムービーはこちら

 

生成AI時代のクリエイティブに挑む──実写とAIの融合で「直感に訴える映像」へ 

本ブランドムービーは、TBWA\HAKUHODOのインハウス コンテンツラボ「DISCO」が中心となり、企画・脚本・撮影・編集・CGIをすべて内製。撮影以外の全工程を少人数で担うことで、スピードとクオリティを両立した映像制作を実現しています。映像表現においては、演者のリアリティや感情を伝えるパートは実写で撮影し、広大な風景や抽象的な概念表現には生成AIを活用するというハイブリッド手法を採用。生成AI映像と実写をシームレスに融合させることで、「どこまでがAIなのか分からない」自然な映像体験を創出することに成功しました。 

 

映像制作における「人間中心のアプローチによるAI」の実装事例となっている本ブランドムービーは、 AIと人間の共創による新しい表現を模索し、実写と生成AIのバランスを最適化することで、AIが人の創造性を支援する未来像を描いています。このブランドムービーを通じて、HCAIの掲げる「人間とAIの共進化」という世界観と未来像を映像という形で広く社会に発信していきます。 

 

TBWA\HAKUHODOのインハウス コンテンツラボ「DISCO」 

本ブランドムービーの企画・制作の中心を担ったのは、TBWA\HAKUHODOのインハウス コンテンツラボ「DISCO」です。「DISCO」は、TBWAの哲学である「DISRUPTION®︎(創造的破壊)」を体現する映像・コンテンツ制作組織で、2019年の設立以来、企画・脚本・撮影・編集・CGIなど全工程をワンストップで内製化し、CM、テレビ番組、映画、YouTubeコンテンツまで多岐にわたる作品を制作してきました。 

廃棄ホタテの貝殻を再利用した「HOTAMET」、世界初のボイスコマンド式公共トイレ「Hi Toilet」、音楽ドキュメンタリー番組「おかえり音楽室」、YouTubeで累計53億回再生*を超える「THE FIRST TAKE」など、業界に革新をもたらすプロジェクトを手がけ、「つくること」への強いこだわりで映像業界の常識を更新し続けています。 
*2025年3月末時点 

 

チーム編成と制作フロー──AI時代の新しい映像制作モデル 

 

<チーム編成> 
本プロジェクトでは、「監督」「アートディレクター」「コピーライター」「エディター」「モーショングラフィックデザイナー」の5名を中核とするコンパクトな制作チームを編成しました。企画から仕上げまで一貫して同じメンバーで進行することで、少人数ながらも密な連携が生まれ、スピード感と創造的柔軟性を両立。必要に応じて撮影スタッフやプロデューサーが加わる形式を採用しました。 

また、生成AIを最大限に活用するため、プロンプト設計から画像・動画生成、レタッチ・アップスケーリング、ノイズ除去・カラーグレーディングといった全工程を内製化。これにより、AIと人間の創造力を融合させる独自の制作プロセスを構築することができました。 

生成AIを用いた映像制作では、従来の職能に新たな役割が加わりました。アートディレクターは「プロンプトグラファー」として画像生成のプロンプト設計から出力の調整・修正まで一貫して担当。的確な言葉選びと調整で理想の画像を生み出します。同様に、コピーライターは「AIフィルムディレクター」として動画生成のプロンプト設計から演出の調整まで一連のプロセスを指揮。これにより大規模なロケやセット制作が不要になる反面、AI生成映像の品質を見極め、細部まで調整・統合する新たなスキルが重要になっています。この変化は制作プロセス全体を効率化しながらも、クリエイティブの本質をより高度な次元へと進化させています。

 

<制作フロー> 
AI技術を最大限に活用した新しい制作ワークフローを構築。制作初期段階で、実写と生成AIによるパートを明確に分け、それぞれに適したアプローチで制作が進行しました。 

 

  1. プリプロダクション:脚本と絵コンテをもとに、まず画像生成AIでシーンのラフイメージを作成。チーム全員が早い段階で映像のビジョンを共有できるようになりました。
  2. 画像生成・加工:生成された画像をレタッチし、質感や光の表現を調整。ノイズを取り除き、アップスケーリング技術で高解像度化することで、後に続く動画生成の品質を高めています。
  3. 動画生成:完成した静止画をベースに動画生成AIでモーションを付与。プロンプトの工夫で被写体の動きやカメラワークを細かく指定し、躍動感ある映像表現を実現しました。
  4. 編集・仕上げ:実写と生成AIの素材を編集ツールで一つのシーケンスに組み込み、色調や質感を統一。全体を通して一貫したブランドイメージとなるよう調整しています。 
  5. ポストプロダクション:最終段階では、AI特有の細かなノイズやブレを丁寧に補正。4K上映でも耐えられる高品質な映像に仕上げました。 

 

「人間中心のアプローチによるAI」が切り拓くクリエイティブの未来 

本ブランドムービー制作を通じて得られた知見は、生成AIが急速に進化する現在において、映像表現とクリエイティブ制作の可能性を大きく広げるものでした。特に実写と生成AIを補完的に使い分けるハイブリッド手法は、「人間がどこに関与し、どこをAIに委ねるのか」という問いに対する実践的な答えとなり得ます。人間の創造性、共感力、編集眼と、AIの演算力や生成能力が融合することで、これまでにないスピード感と柔軟性、そして創造性を持った新しい映像制作のあり方が浮かび上がりました。

TBWA\HAKUHODOは、今後も、AIと共創する次世代のクリエイティブに挑戦し続けていきます。 

 

【TBWA\HAKUHODO Chief Creative Officer 細田高広 コメント】 
デスクトップと四畳半。それだけでこの先、ロケハン・キャスティング・ライティング・撮影・仕上げ、すべてが可能になる手応えがありました。出版と音楽に起きたことが、映像にもやってきている。AIで製作プロセスはさらに大きく変わるでしょう。けれど一方、本質は変わらないという気づきもありました。積み重なるエナジードリンク、脱ぎ散らかった靴とサンダル、議論とやり直しの繰り返し。グッと来る、を目指して試行錯誤する現場ならではの「辛さ」とよく似た「幸せ」はしばらく続きそうです。 

 

 【TBWA\HAKUHODO Copywriter / AI Film Director 横山 真之介 コメント】  
映像に登場する「AIを手にして、人はどう変わるだろう」という問いは、制作過程で私たち自身が直面した問いそのものです。実際に「AIと創造する」「AIと挑戦する」「AIと考える」ことで、人間だけでは思いつかなかった表現を発見し、従来の映像制作では難しかった壮大なスケール感を実現できました。「人間を極める。AIと。」という言葉は、このプロジェクトで実感した真実です。映像制作の未来は、AIを道具として使いこなすのではなく、創造の対等なパートナーとして、共に新たな表現領域を切り拓いていくことにあると確信しています。 

 

【スタッフリスト】 

細田 高広( Chief Creative Officer ) 

横山 真之介( Copywriter / AI Film Director) 

水本 隆朗( Art Director / Promptgrapher ) 

桐生 康佑( Director ) 

見田 伸夫( Editor ) 

住吉 清隆( Motion Designer) 

エリック・エレフセン( Transcreation ) 

深津 広孝( Executive Producer ) 

井上 音夢( Senior Producer ) 

髙垣 慶大( Producer )